こんにちは。ドローン事業部マネージャーの大谷です。
終わりましたね、MLB。
で、Wシリーズ優勝。で、満票MVP。
もう何なん?最終回??って思いませんでした?
もう同じ名前を名乗るのが、恥ずかしいレベルですね…笑。
とはいえ、ことしは現地にも見に行くことができましたし、本当に楽しませていただきました。
今年1年間、本当にありがとうございました! それではまた来年!!
……って、ここで終われば楽なのですが、ちゃんと書かないと怒られるので、本題に。
さて誰も気にしていないと思うのですが、前々回はOmniscan、前回はDVLについて書きました。
ただ実際には、「ソナーの仕組みや値段の違いがよくわからない」といった声も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「そもそもソナーとは何か」という基本的なところについて簡単に触れてみたいと思います。
ソナーとは?
これはご存知の方も多いと思いますが、水中では電波や光はほとんど使えません。
そこで利用するのが音波です。この音波を使ったものがソナーですが、原理はシンプルで「音を水中に発射して、跳ね返ってくるまでの時間を測る」だけ。
コウモリが超音波で周りを把握するのと同じ原理ですね。
水中で目が見えないときの「もうひとつの目」として、ソナーは大活躍します。
前々回のブログでもお見せしましたが、濁った水でも橋脚がクッキリ見えるんです。
シングルビームとマルチビームソナーの原理
で、水中ドローンではこのソナーを使った機器が多く出ていますが、原理としては「シングルビーム」と「マルチビーム」の2種類があります。
シングルビームは、その名の通り「一発の音波」を利用します。釣り船でおなじみの魚群探知機の多くがこのタイプ。シンプルイズベストな感じで、数十万円から手に入ります。
一方、マルチビームは「たくさんの受信機」で音を受け取ります。まるで大勢で音を聴いているような感じで精度は段違いに良くなるのですが、値段もそれなりに(数百万円以上)なってきます。
マルチビームソナーについて
この2種類の原理を使ってCHASINGのオプション機器も作られていますが、個々の製品を見る前に、とくに勘違いされやすい水中ドローンのマルチビームソナーについてご説明します。
よくマルチビームソナーについて話をすると、「測深や測量はできますか」と聞かれることがあります。おそらく皆さんがイメージされているのは、この写真のようなものだと思います。
しかし結論からいえば、水中ドローンのマルチビームソナーは、正確な計測はできません。こうしたマルチビームソナーは処理が複雑で、重量もあり、より高額になるため、小型の水中ドローンには向いていません。水中ドローンに搭載するマルチビームソナーは、原理は同じマルチビームを使いますが、あくまで航行の補助として周囲の状況の把握するために使用する、マルチビーム“イメージング”ソナーです。
ただし、リアルタイムで周囲の状況が把握できるので、濁った水中ではかなり有効です。イメージとしては、お腹の赤ちゃんのエコー画像に似ていますね。
というわけで、マルチビームを使ったソナーは原理が複雑でどうしても高価になりますが、一方で用途を限ってシングルビームを使うことで、コストと性能を両立させている製品が多くあります。
ソナーの種類と特徴
ここからは各製品について、簡単に原理と使い方を説明したいと思います。
【マルチビームソナー】
●Oculus Mシリーズ
マルチビームを使用し、周囲の状況をリアルタイムで詳細に把握できるイメージングソナー。シリーズとしてM370s、M750d、M1200dなどがあります。ちなみに370などの数字は周波数帯(※750は750kHz、1200は1.2MHz。高いほど詳細に)、sはシングル、dはデュアルで周波数の切り替えが可能です。
【シングルビームソナー】
●Omniscan 450FS
幅1度未満の狭いビームを照射して、水中ドローン自体を回転させることでイメージを描くソナー。機体を安定的に操作する必要がありますが、リアルタイムで状況が把握できます。
●Ping360 Scanning Imaging Sonar
ソナー内部で360度に回転しながら全方位をスキャンするイメージングソナー。全方位の状況がわかるので便利な反面、360度スキャンするのに5~20秒かかりリアルタイム性には欠けます。360度スキャンである程度アタリを付けて、その方向に照射を絞る(例えば120度の扇状)とスキャン速度も上がって使いやすくなります。
●ディスタンスロックソナー
名前の通り、距離を計測し、ロックするソナー。機体の前、左右、下方向の4方向の距離を超音波で計り、対象物との距離を一定に保つことができます。衝突防止や正確な点検などに役立ちます。CHASING純正ということもあり、かなりコスパがいいです。
●DVL(ドップラー速度ログ)
海底に向けて発射したビームの跳ね返りから、機体の速度を測定します。水中ドローンでは、その速度変化を打ち消す形で機体を自動制御することで、流れのなかでもその場に留まって作業することができます。
●USBL(水中測位装置)
水上にあるレシーバーと、水中ドローンに取り付けたトランスミッターの音響通信から機体の位置を測定できます。環境によって数メートル単位で誤差が出ますが、コンパクトなサイズと使いやすさから多くの水中ドローンで使われています。
ほかにも、海底の広い範囲を調査する場合に使用するサイドスキャンソナー(船に取り付けることも多い)や深さを図るPingソナー(CHASING未対応)など、さまざまなソナーがあります。
というわけで、ひと言でソナーといってもさまざまなものがありますので、これを機会にまとめてみました。
ただ今回書いたものはほんのごく一部ですので、「結局どのソナーが自分の用途に合っているかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。現場のことを知っているからこそ、適切なアドバイスができると思います!
それでは、少し早いですが、今度こそ本当に…
今年1年間、本当にありがとうございました!それではまた来年!!